鼻アレルギー

鼻アレルギーの症状には、くしゃみや鼻づまり、鼻水があります。
 
その他、涙がとまらなくなる、顔や鼻がむずむずする、目がかゆい、といった症状がでることもあります。
 
なかでも毎年、春先になると多くの人が苦しめられる花粉症です。花粉症は鼻アレルギーのなかでも、ある一定時期になると発病することから「季節性」と呼ばれるものです。
 
一方、室内のちりやペットの毛、家ダニなどが原因で起こる鼻アレルギーは、「通年性」といわれます。
 
鼻アレルギーに広く用いられるのが、「ショウセイリユウトウ」です。
 
体力が中程度ある人に主に処方され、鼻水や鼻づまりに効果があります。
 
しかし、この薬を用いると、胃腸障害を起こすという場合は、「リョウカンキョウミシンゲニントウ」が用いられます。この薬は、冷えにも効果があります。
 
目や顔のかゆみがある場合には、「エッピカジュツトウ」「ビャッコカニンイントウ」が用いられます。
体力がある、実証のタイプ向きです。虚証の人に用いる場合は、量を減らすなどの工夫をします。

花粉症の初期に、体力のある実証の人に用いられるのは、「マキョウカンセキトウ」です。

ただし、漢方薬は、西洋薬と異なり、病名や症状だけから適切な処方を選択することは出来ません。
 
病気の人それぞれの「証」といって、体質、体力、抵抗力、病気の進行具合などを総合的な判断して用いる漢方薬を決定するのです。
 
証の判断は、漢方医学の専門家にゆだねるのが理想的です。
 
ここで示した漢方薬は、あくまでもおおよその目安と考えてください。

漢方薬と不眠症

疲れていて眠いはずなのに布団に入ると目が覚めてしまう、なかなか寝つけない、寝ても朝早く目が覚めてしまい、一度目が覚めると再び眠りに就くことができない・・・。
 
不眠症は、当人にとって非常につらい症状です。
 
悶々としながら布団のなかにいるのは、苦痛というにふさわしいものです。
 
西洋医学の場合は、不眠症ならば睡眠薬を飲むということになりますが、睡眠薬は習慣性や副作用があることから敬遠されがちです。
 
漢方薬の場合は、即効性はありませんが、その分、副作用の心配もあまりありません。
 
また、漢方薬は、鎮静作用だけではなく、身体全体の調子を整える効果もあります。
 
漢方薬が有効な不眠症は、不眠の原因となる疾患がない場合です。
 
「リュウコツ」「サンソウニン」「ブクリョウ」といった、鎮静作用のある生薬が配合されているものを用います。
 
広く用いられるのは、「ヨクカンサン」や「ヨクカンサンカチンピハンゲ」です。
 
虚弱でない人で、怒りっぽく、神経質な人に対して有効です。
 
一方、体力がない虚弱な人、心身ともに疲労している人には「サンソウニントウ」が向きますが、この薬は、胃腸の弱い人には不向きです。
 
胃腸が弱いという場合には、「キヒトウ」を処方します。
 
さらに、気管支に障害がある場合は、「チクジョウンタントウ」がいいでしょう。
 
ただし、漢方薬は、西洋薬と異なり、病名や症状だけから適切な処方を選択することは出来ませんので、専門家の判断に従うのが賢明と思われます。
 
ここで示した漢方薬は、あくまでもおおよその目安と考えてください。

風邪と漢方薬

風邪と、ひとくちに言ってもその症状や原因はさまざまです。

悪寒(おかん)、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛など、症状はさまざまであり、しかも単独で現れるのではなく、複合的に生じるのが一般です。
 
また、風邪の原因と考えられるウィルスは、100種類をはるかに超えているといわれます。
 
また、細菌や寒さなども風邪の原因となることがあります。
 
漢方医学では、まず、その人の症状から二つのタイプに分けます。

体力があって発熱や頭痛、関節痛、喉頭痛などの痛みを伴うものを「陽証」といいます。
 
一方、体力が衰え、悪寒や全身の倦怠感を覚えるものは「陰証」とされます。

さらに、症状が身体のどこに現れているかも、漢方薬を選択する重要なかぎとなります。
 
体力が充実していて、頭痛や悪寒といった、身体の外に証が現れている人(初期症状の人で陽証)には、「葛根湯(かっこんとう)」が効きます。
 
しかも悪寒がしたらすぐに葛根湯を飲むのが早く治すかぎとなります。
 
一方、同じ初期症状でも虚弱な体質の人は、「桂枝湯(けいしとう)」が効きます。
 
さらに体力が低下していて、不安や不眠などの精神症状を伴う場合(陰証)には、「香蘇散(こうそさん)」が適しているといわれます。
 
ただし、漢方薬は、西洋薬と異なり、病名や症状だけから適切な処方を選択することは出来ません。
 
病気の人それぞれの「証」といって、体質、体力、抵抗力、病気の進行具合などを総合的な判断して用いる漢方薬を決定するのです。
 
証の判断は、漢方医学の専門家にゆだねるのが理想的です。ここで示した漢方薬は、あくまでもおおよその目安と考えてください。

漢方薬のせんじ方

現代薬と異なり、漢方薬の場合は、1日分を水でせんじて飲むことが必要です。
 
誤った方法では、せっかくの漢方薬の有効成分を充分にせんじ出すことができません。
 
では、漢方薬をせんじには、どうしたらいいのでしょうか。

まずは、それにふさわしい道具をそろえます。漢方薬をせんじると匂いが移りますので、普段、料理やお茶を入れるのに使うものと区別することをお勧めします。
 

適した道具

せんじるのに、もっとも良いのは素焼きの土びんでしょう。しかし入手が困難な場合は、普通の土びん、あるいは耐熱ガラスを用いることも可能です。
 
アルマイトの鍋ややかんでも大丈夫です。
 
しかし鉄びんの場合、生薬に含まれるタンニンが鉄と反応し、化学変化を起こすことから、生薬をせんじるのには不向きです。
 
 
せんじ方

1.容器のなかに、漢方薬の1日分と、水3カップ(600cc)を入れます。

2.弱火にかけます。ふたはしません。

3.ふきこぼれないように注意しながら約40分、じっくりと煮詰めていきます。
      水が半量程度になったところで火からおろします。

*約40分で水が半量になる火加減が最適ということです。
 
それよりも短い、つまり15分程度では、火加減が強すぎます。
 
漢方薬のなかの有効成分が充分にせんじ出されていません。
 
逆に、40分よりも長いと一度せんじ出された有効成分が再吸収されてしまいます。

充分に有効成分がせんじ出されたら、茶こしでかすをこします。
 
かすをそのまま残しておくと、煮すぎた場合同様、せっかくの有効成分がかすに再吸収されてしまいます。

漢方薬と冷え性

多くの人、特に女性、が、冷えに悩んでいるにもかかわらず、(不思議なことに)西洋医学には「冷え性」という病名はありません。したがって冷えに効く薬も存在しないのです。
 
そのため冷え性は、漢方薬の効果が非常に期待される領域といえるでしょう。
 
ひとくちに「冷え性」といってもその症状はさまざまです。下半身が冷えるにも関わらず、顔はほてっている、背中や腰に冷えを感じるもの、などです。
 
原因もこれといって特定できません。貧血や、血の滞り(漢方医学で「お血」と呼ばれる症状)、体内の水分が偏っている状態、自律神経失調症、などが冷えの原因となります。
 
いずれの症状であれ、その人の証と合った漢方薬を選ぶことが、症状の改善に最も重要となります。
 
たとえば、色白で水太りの傾向があり、体力がない人で、貧血気味、水毒のある人、また女性なら月経異常がある場合は「トウキシャクヤクサン」が用いられます。
 
下半身だけが冷え、上半身には冷えを感じない、あるいは逆にのぼせるという人には、「ケイシブクリョウガン」や「ゴシャクサン」といった、漢方薬が用いられます。
 
また、手足の先だけが冷えるという人も多いことでしょう。このような場合の冷えには、「トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ」という漢方薬が用いられます。
 
頭痛や肩こり、腰痛、といった症状に有効で、体力のない虚証タイプの人に用いられます。

一方、老化に伴う冷えもあります。このような冷えに対しては、「ハチミガン」が効果があるとされます。

漢方薬と気管支炎

咳や痰などに悩まされる気管支炎は、つらいものです。
 
特にお年寄りの場合、夜になって寝るときに咳が出てとまらなくなるということがあります。
 
そのような場合、漢方薬が効果を発揮することがあります。
 
お年寄りに限らず、かぜを引くと、熱や関節の痛みなどの他の症状は消えても、咳や痰はなかなか止まらないということがよくありますが、このような場合にも、漢方薬によって症状が改善することがあります。
 
漢方薬は、通常、食前や食間に飲みます。
 
しかし、咳が夜や明け方にひどくなるという場合は、就寝前に飲むと効果があるといわれます。
 
咳には、痰を伴う場合と、痰を伴わない乾いた咳があります。
 
水様の痰を伴うような咳には、「ショウセイリュウソウ」などの漢方薬が有効とされます。この漢方薬には、気管粘膜の過剰な水分を取り除く作用があるからです。
 
一方、痰を伴わない乾いた咳の場合は、「バクモンドウトウ」や「ジインコウカトウ」といった薬を用います。気道粘膜に湿り気を与える作用のある漢方薬です。
 
また、お子さんで発作性の咳が出る場合がありますが、そのようなお子さんには、「ゴコトウ」が用いられます。
 
一方、比較的体力がないお年寄りには、「ジインコウカトウ」を、さらに妊婦の方には、「バクモンドウトウ」を用いることが多いです。
 
ただし、漢方薬は、西洋薬と異なり、病名や症状だけから適切な処方を選択することは出来ません。
 
病気の人それぞれの「証」といって、体質、体力、抵抗力、病気の進行具合などを総合的な判断して用いる漢方薬を決定するのです。
 
証の判断は、漢方医学の専門家にゆだねるのが理想的です。ここで示した漢方薬は、あくまでもおおよその目安と考えてください。

漢方薬と神経痛

ひとくちに神経痛といっても、その原因や症状、また痛みが起こる部位は、さまざまです。
 
概して神経痛は、神経の圧迫や炎症、虚血によって生じるといわれます。
 
しかし、糖尿病や癌、椎間板ヘルニアといったほかの病気が原因でおこるものもありますので、専門の医師の診断を受けてから、西洋医学で治療するのか、あるいは漢方医学で、漢方薬を用いて治療するのかを決定する必要があります。
 
神経痛全般に効く漢方薬としては、「ケイシブリョウガン」「トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ」、「マオウブシサイシントウ」、「シャクヤクカンゾウブシトウ」などが用いられます。
 
●「ケイシブリョウガン」・・・体力は標準で、下腹が硬く張っており、血が滞っている(お血)場合に、用いられます。

●「トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ」・・・手足に冷えがある場合にもちいます。

●「マオウブシサイシントウ」・・・全身の倦怠感が強い陰証の人に処方します。

●「シャクヤクカンゾウブシトウ」・・・筋肉の引きつり感を伴う発作性の痛みに降下があります。
 
また、「ゴレイサン」は、三叉神経痛に対して用いられる薬ですが、口が渇く、尿の量や回数が少ない、といった、いわゆる水分代謝の異常(水毒)に対して効果が期待されるもので、三叉神経痛の場合、必ずしもこのような症状が出るとは限りませんので、三叉神経痛には、漢方薬の効果はあまり期待しないほうが無難かもしれません。
 
漢方薬は万能ではありませんし、西洋医学のほうが効果が期待できる場合などもあります。

漢方薬の飲み方

最近は、大学病院や公立の病院でも漢方治療を行うところが増えてきています。
 
厚生省が漢方薬の健康保険適用を承認して以来、漢方治療の基礎的研究もさかんに進められ、現代医学の面からの効果の裏づけがされるようになったからです。
 
漢方薬は、1日分ごとに、生薬を水から弱火でせんじ出します。
 
せんじた漢方薬は、1日分を2〜3回にわけて食事と食事の合間に飲みます。
 
漢方薬を効率良く吸収するには、胃に食べ物などが滞留していないときのほうが都合がいいからです。
 
ただし、人によっては、漢方薬を食前に飲むとお腹が張ってしまったり、食欲がなくなってしまうということがあります。
 
そのような場合は、食後に服用してもかまいません。
 
また、生活リズムや仕事の都合で食間にうまく時間が取れない場合は、朝食前に1回目を飲み、2回目は夕食前か、あるいは夕食後に飲むようにしてはいかがでしょう。
 
せんじ薬は、温めて飲むのが一般的です。温めたほうが、効果が高いといわれるからです。
 
せんじ出したあと時間がたち、冷めてしまったものは、飲むときにそのつど温めます。
ただし、吐き気がある場合は、冷たくし、少しずつ飲むようにします。
 
お子さんの場合は、大人の量を加減して与えてあげてください。6〜12歳のお子さんなら大人の量の半分を、4〜5歳なら大人の3分の1量、3歳以下のお子さんは大人の量の4分の1の量を大人と同様、1日に2〜3回にわけて服用します。
 
漢方薬は、西洋薬と比べると作用は穏やかですが、副作用がまったくないわけではありません。
 
専門の医師に相談のうえで服用することが大切です。

漢方薬と健康保険

漢方治療は、昭和51年に、厚生省が漢方薬の健康保険治療の適用を承認するようになって以来、見直しが行われ、広く普及するようになってきました。
 
しかし、すべての漢方薬に健康保険がきくわけではありません。
 
現在のところ処方数は、147種と限られており、しかも保険診療が認められるのは、これらの漢方薬に対して、医師の処方箋がある場合に限ってです。
 
しかし、過去の治験例からみると、この147種類に限らず、もっとずっと多くの処方が用いられており、その効果も現れています。
 
漢方薬には、大きく2つに分類されます:せんじ薬とエキス製剤(医療用漢方製剤)です。
医療用漢方製剤というのは、生薬の抽出エキスを顆粒、細粒、粉末、錠剤なおにしたもので、いわゆる病院でもらう漢方薬です。
 
これらのうち、保険診療が承認されているのは、エキス製剤に関してのみです。
 
しかし、実際、漢方の専門医のなかには、漢方製剤以外の処方を用いる医師もいます。
 
そのため、漢方治療を行う医療機関のなかにも、保険が適応されるエキス製剤のみを扱う機関、保険適応外のエキス製剤のみを扱う機関、さらに両方を扱う機関があるのです。
 
したがって、漢方治療の保険診療を希望される方は、ご自身が診察を受ける医療機関が保険診療を行っているかどうかを、事前に確認してうえで診察を受ける必要があります。
 
また保険適応内のエキス製剤と適応外のエキス製剤の両方を扱っている医療機関の場合には、保険が適応される範囲内での処方をしてもらえるよう、申し出ておくことが大切です。

漢方薬とは

漢方治療では、「生薬(しょうやく)」と呼ばれる薬効のある動植物や鉱物を幾つか組み合わせた薬を用います。
 
これが漢方薬です。
 
生薬の配合の仕方や配分は、長年の臨床経験から体系化されてきたものです。
一般的に穏やかな作用をするのが特徴です。
 
身体全体に作用するのであり、現代医療のように、病巣だけに的をしぼって直接作用するのとは異なります。

一方、現代の医療で用いられる現代薬、すなわち西洋薬や化学薬の多くは、有効な成分だけを分離して、精製したものであることから、非常に効力があり、しかも治療の目標とする病巣部位に直接作用します。

それぞれに一長一短がありますが、からだ全体に穏やかに作用する漢方薬は、アレルギー性疾患、老人性疾患などの全身的な慢性疾患に有効とされ、よく用いられます。

漢方治療は、日本では昭和51年に厚生省が漢方薬の健康保険適用を承認して以来、見直しが進み、広く普及されるようになりました。
 
最近では、漢方治療を取り入れる大学病院や公立病院も増えてきています。また、西洋医療と組み合わせて、効率よく治療を進め、効果を発揮している場合もあります。

経験医学といわれる漢方治療ですが、漢方薬が作用する科学的な研究も進められ、現代医学の面からの効果の裏づけがとられたものが増えてきているのも確かです。

ただし、漢方薬にも、軽いとはいえ、副作用がないわけではありません。
 
薬である以上、専門の医師の判断のもとで服用するべきでしょう。